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「腸は第二の脳」と呼ばれている

執筆者:カラダヴィンチ編集部
公開日:2018/04/18
「腸は第二の脳」と呼ばれている

目次

  • 1 腸は最大の臓器
  • 2 腸は独自に考える
  • 3 腸は最大の免疫担当器官
  • 4 アレルギーの原因は腸にある?
  • 5 腸内細菌の不思議
  • 6 腸は第二の脳

腸は最大の臓器

人間の腸は小腸が5~6m、大腸が1.5m、そして小腸の内側の表面積はテニスコート1面分にもなるというように、最大の臓器です。
腸は年間に1トンにもおよぶ食物を消化し、体の細胞やエネルギーの基となる成分を取り込んでいます。
しかし、このような消化・吸収以外にも、腸は多彩な機能を持っていることが、近年の研究から明らかにされています。

腸は独自に考える


腸には1億個の神経細胞が存在しており、脳から指令を受けるだけではなく、脳とは独立した活動も行っています。
神経細胞の集合体である脳(大脳に数百億個、小脳に千億個)を除けば、これほどの神経細胞を持っている臓器は脊髄と腸しかありません。

コロンビア大学のマイケル・ガーション教授(解剖学・細胞生物学)は、「脳が消化管に送り込む情報より、消化管が脳に伝達する情報のほうがはるかに多い」ことから、腸を「第二の脳」と表現しています。
腸で作られた神経伝達物質やホルモン、サイトカインなどの物質は、独自に消化系をコントロールするだけでなく、神経ネットワークに作用して脳にも影響を与えています。

腸は最大の免疫担当器官

免疫というと白血球やリンパ球が担うものと思われていますが、異物に対する免疫防御機構は身体のいろいろな部分で働いています。

特に、呼吸器や消化管の内壁は、体内にありながら外界と通じていて、細菌やウイルスなどの異物が入って来やすいために免疫防御システムが発達しています。

本来、アメーバなどのような原始的な生物では、消化管に入ってきたものは食物でも細菌でも全てを消化していたので、消化と免疫防御は同じシステムで賄われていました。
それが生物の進化に伴って、血管やリンパ管ができ、体内の栄養輸送と免疫防御のシステムが分かれて発達してきたと考えられています。
つまり、腸は消化器官であると同時に「“元祖”免疫システム」でもあったのです。

腸管壁の粘膜にはパイエル板という、リンパ球を大量に含んだ腸特有のリンパ組織が存在しています。
このパイエル板の中にはさまざまな免疫担当細胞が待機しており、侵入しようとする細菌やウイルスを排除すると同時に、体内に侵入しようとする細菌やウイルスなどの情報を伝達して、抗体を準備するといった情報ネットワークの働きも担っています。

アレルギーの原因は腸にある?


このように腸は外来の異物を排除する強力なシステムを持っています。
ここで疑問に思うのは、「食品も外来異物ではないか?」ということです。

免疫は「自分でないものを排除する」ことを基本としたシステムなので、もともと自分ではない食品も排除してしまうはずなのですが、身体に必要な食品はきちんと吸収します。

この不思議な選択システムはいまだに謎が多いのですが、腸は食品のタンパク質を「身体に必要なもの」と認識し、それに対する免疫細胞の反応を抑制していることがわかりました。
これを『経口免疫寛容』といいます。

では、どのようにして身体に必要なものか、有害なものかを見分けるのでしょうか?

これには消化管に入ってくる量が関係していると考えられています。

腸は、食品のように何度も繰り返し、大量に入ってくる物に対しては、免疫反応を起こさないようにする制御機構を持っていることが動物実験で明らかになっています。

しかし、この制御機構になんらかの不具合が生じることが、食物アレルギーの原因となることから、この制御機構の解明によって食物アレルギーの治療が進歩することが期待されています。

腸内細菌の不思議

腸の中には大腸菌、乳酸菌、腸球菌、バクテロイデスなどをはじめとして、非常に多くの細菌からなる腸内細菌叢(腸内フローラ)があることが知られています。

腸内細菌は全ての生物の腸内に存在しています。

そもそも、腸内細菌も人間にとっては外来異物のはずですが、腸がこれらを駆除するような免疫反応を起こすことはありません。
これも腸の免疫システムの不思議な点の一つです。

近年の研究では腸内細菌と腸管壁の免疫システムの間では情報交換が行われており、それによって腸は通常の腸内細菌に対する免疫反応を抑制していることがわかってきました。

また、腸内細菌は神経伝達物質の元となる物質や、ある種の化学物質を産生して、人の神経系や内分泌系に影響を与えることもわかっています。

長年にわたって人間と共生してきた腸内細菌は、すでに人間にとっては不可欠な存在となっているのです。

腸は第二の脳

人間の生命活動は主に脳をはじめとする神経系の働きによってコントロールされていると思われていますが、免疫系、神経系、ホルモンなどの内分泌系を独自に制御する腸は、人間の「第二の脳」として注目を集めています。

もちろん腸には複雑な計算をしたり、文字を読むようなことはできませんが、生命活動に関する幅広い機能に影響を与える点では、脳と似た機能を持っているといえるでしょう。

そう考えると、不規則な食生活や生活習慣、ストレス、冷え、不要な抗生物質の服用などで腸に過大な負担をかける生活を考え直すことが必要かもしれません。

参考

セカンドブレイン -腸にも脳がある!- マイケル・D. ガーション (著) 小学館
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腸内革命 ―腸は、第二の脳である-  藤田 紘一郎  (著)  海竜社
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アレルギー 免疫 腸内細菌叢
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