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嚥下障害のサポートとリハビリ -看護師は絶対マスター! 介護職はスキルアップ! 

執筆者:高野 真一郎(日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医)
公開日:2017/10/17 更新日:2017/11/14
嚥下障害のサポートとリハビリ -看護師は絶対マスター! 介護職はスキルアップ! 

口から食物を摂取する一連の行為を「嚥下」といい、この嚥下がうまくいかないことを嚥下障害といいます。

ここでは、嚥下障害をサポートするためにはどうすれば良いか、またリハビリの仕方について解説していきます。

目次

  • 1 嚥下障害のサポートとリハビリ
    • 1.1 (1)認知期
    • 1.2 (2)口腔期
    • 1.3 (3) 咽頭期
    • 1.4 (4)食道期
  • 2 嚥下障害のリハビリ
    • 2.1 口腔リハビリ
    • 2.2 腹式呼吸法

嚥下障害のサポートとリハビリ

嚥下障害のサポートとリハビリについて、「嚥下障害は4つのパートに分けて考える」で説明した嚥下の過程をなぞりながら、解説していきます。

自分で唾液や水を飲み込みながらやってみるとわかりやすいと思います。

(1)認知期

まず、食べ物(飲み物)を口の中に入れます。この時に脳梗塞などで口唇(くちびる)に麻痺などがあると、うまく口の中に入れることができません。

また、がんばって飲み込もうとしても口腔内圧を上げることができなくて、うまく嚥下できません。この状態で無理に嚥下しようとすると丸飲みになるため、窒息のリスクが高まります。

口唇の筋肉はリハビリが可能なので、ここの機能は回復が期待できます。

(2)口腔期

次に、咀嚼して、唾液を出し、食塊を作ります。食塊を舌の上の中央のくぼみにセットし、いよいよ嚥下がスタートします。液体の場合でも固形物と同様に舌の上から嚥下が始まります。流れとしては、鼻咽腔が閉鎖されて、舌の先が上の前歯の後ろにくっついて、その後、舌を口蓋に押しつけることで、食塊が咽頭に送り込まれます。

この過程では舌の働きが重要となりますが、脳梗塞などで舌に運動障害(麻痺)があると、舌を上に持ち上げることができないため、食塊をうまく送り込めないことがあります。

また、鼻咽腔閉鎖不全があると、嚥下がうまくできません。鼻咽腔閉鎖に問題があるかどうかは、簡単にテストできます。口腔内と鼻腔内は鼻の奥でつながっています。唇を結んで、ほっぺたを膨らませて、口腔内に空気を溜めておけるなら、口腔内と鼻腔内のつながっているところがきちんと閉鎖できています。うまくできない患者さんは閉鎖できていないということなので、飲み物にトロミをつける必要があります。

水分のトロミは、スプーンから垂らした時に糸を引く程度が適切です。

ボタッと塊で落ちるほど濃度が高いと、咽頭残留の量が多くなります(薄い濃度から評価して最低限度の濃度とする)。

食物にトロミをつけるかどうかは、頚部聴診で判断することが重要です。

口腔リハビリとして、ほっぺたを膨らませたり、凹ませる運動や、舌をスプーンなどで下方に圧迫して舌を動かすリハビリが効果的です。またストローで息を送り出してコップのお水をぶくぶくするのも効果的です。

(3) 咽頭期

咽頭に送り込まれた食塊は、一連の嚥下反射で食道に送り込まれます。水などの液体がムセやすいのは喉頭蓋の隙間を通過しやすいからです。

液体のみのムセ(食物はOK)なら、アイスマッサージ、唾液を意識して飲み込む、トロミ剤などを用いた食形態の工夫などで誤嚥予防を行いましょう。

(4)食道期

食道入口部が閉鎖し、食塊は胃へ。食塊が食道に送り込まれると、逆流しないように食道入口部が不随意的に(自分で意識しなくても)瞬時に閉鎖して、蠕動運動にて胃に運ばれます。

食道入口部の通過障害の治療にはバルーンで拡張したり、A型ボツリヌス毒素の注射による方法などがあります。

嚥下障害のリハビリ

口腔リハビリ

口腔リハビリには様々な方法がありますが、ここでは主要な方法として口腔リハビリのやり方を紹介します。

腹式呼吸法

嚥下障害のリハビリとして腹式呼吸も有効です。

窒息の予防や咽頭残留物の喀出(吐き出すこと)にも効果があります。トレーニング方法をマスターしておきましょう。

腹式呼吸は、最初に息を吐きながらお腹を凹まし、続いて息を吸い込むことで自然にお腹が膨らみ、横隔膜が上方に押し上げられます。これで血中酸素濃度と肺血流が増加します。

腹式呼吸の際に、口をすぼめることで、口唇の筋力が増強されます。また、気道に予備圧力が働くので、肺胞や気道が内側から広がり、息切れが楽になることもあります。鼻咽腔閉鎖不全を予防するブローイング練習にもなります。

患者さんに指導する時には、口をすぼめて息をゆっくりと吐いてもらいます。お腹から絞り出す感じで吐いてもらうのですが、患者さんのお腹に手を添えて、お腹を凹ますように声をかけながら吐いてもらいましょう。

その後、鼻からゆっくり息を吸うと自然にお腹が膨らみます。口をすぼめて息を吐く時は、30㎝先のローソクの火を消すイメージでやってもらいましょう。

高野真一郎(日本プライマリ・ケア連合学会 認定医・指導医)

昭和51年生まれ。岩手医科大学を卒業後、北上済生会病院で初期研修を修了し、外科・心臓血管外科を専攻。多摩丘陵病院、慶應義塾大学病院、東京天使病院等にて急性期治療から慢性期治療を経験。その後、やまとサンクリニック、登戸サンクリニック、八王子北クリニックにて在宅医療や介護と関わる。現在、しん平和島クリニック院長。本書は、著者が実際に使っていた看護師・介護士へのレクチャーマニュアルがベースとなっている。日本プライマリ・ケア連合学会 認定医・指導医。

しん平和島クリニック http://www.shin-heiwajima-cl.jp/


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高野真一郎(日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医)

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