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生きた乳酸菌は本当に腸に良いのか?

執筆者:カラダヴィンチ編集部
公開日:2018/06/29
生きた乳酸菌は本当に腸に良いのか?

目次

  • 1 乳酸菌の効果
  • 2 乳酸菌が生きたまま腸まで届く?
  • 3 死んでも役立つ乳酸菌
  • 4 乳酸菌を増やすには
  • 5 乳酸菌が住みやすい腸内環境とは
  • 6 発酵食品の威力

乳酸菌の効果

フランスの科学者ルイ・パスツールによって乳酸菌が発見されたのは1857年ですが、1907年にはロシアの微生物学者イリヤ・メチニコフが「乳酸菌の摂取が長寿の秘訣である」という仮説を立て、乳酸菌を多く含むヨーグルトの摂取を推奨しました。

その後も多くの実験や研究で、乳酸菌が健康維持に効果があることがわかっています。

その理由として、乳酸菌が腸内細菌叢(腸内フローラ)の腐敗菌などの悪玉菌の増殖を抑え、健康な腸内環境を作ることにあります。

さらに近年の研究によって、腸内で乳酸菌が作り出す物質が、人間の免疫機能の調整や、ウイルスや細菌からの感染予防に重要な役割を果たしていることがわかってきました。

乳酸菌が生きたまま腸まで届く?

人間の腸内細菌叢に占める乳酸菌の割合は、乳児期が最も高く、加齢とともに減少していきます。

そこで、「減少した乳酸菌を補うために、ヨーグルトのような乳酸菌を豊富に含んだものを食べれば良い」と考えるのはもっともなことです。

これは一見すると、とても理にかなったもののように思えますが、よく考えるとある疑問がわいてきます。

「通常のヨーグルトに含まれる乳酸菌は胃で消化されるので、腸に届かないのでは?」という疑問です。

事実、口から摂取した乳酸菌は胃で消化されてしまうので、通常では「生きた乳酸菌」が腸まで届くことはありません。

そこで最近では、乳酸菌が消化されずに、腸まで届くように工夫された「生きた乳酸菌が腸まで届く」商品がいろいろと開発され、販売されています。

しかし、ここでもある疑問が浮かびます。

「何らかの方法で乳酸菌が腸まで届いても、その乳酸菌は腸内に定着するのか?」という疑問です。

冒頭でご紹介した、「ヨーグルトの摂取が長寿につながる」という説は本当に正しいのでしょうか。

どうやら単純に「乳酸菌が生きたまま腸まで届く商品だから良い」と考えられるものでもないようです。

死んでも役立つ乳酸菌

まず、「通常のヨーグルトに含まれる乳酸菌は胃で消化されるので、腸に届かないのでは?」という疑問について考えてみましょう。

これを考える上で、いくつかの実験を紹介します。

まず、健康な成人に加熱殺菌した乳酸菌を2ヵ月間与え続けたところ、腸内の乳酸菌が増え、ウェルシュ菌などの悪玉菌が減少し、糞中の腐敗物が減ることが確認されています。

また、ある動物実験では、加熱殺菌した乳酸菌の与えることによって平均寿命が延びることが確認されています。

これらの実験結果から、胃で消化され、死んだ乳酸菌でも、腸内の乳酸菌を増やす効果があると考えられます。

つぎに「何らかの方法で乳酸菌が生きたまま腸まで届いても、その乳酸菌は腸内に定着するのか?」という疑問について考えてみましょう。

これに関する実験もあり、「生きた乳酸菌」を腸内に届けて、便中の乳酸菌を調べたところ、便中の乳酸菌の99%が既存の乳酸菌であり、「生きた乳酸菌」は腸内で増殖していなかったという結果があります。

これらの実験結果から、乳酸菌の死骸は腸内の乳酸菌を増やす効果があるが、「生きた乳酸菌」を腸に届けても、その乳酸菌は定着・増殖しないことがわかります。

ヨーグルトを日常的に食べることが健康につながるのは、死んだ乳酸菌が腸の乳酸菌を増やすからなのです。

乳酸菌を増やすには

腸内の乳酸菌を増やす基本的な考え方として、腸内を乳酸菌が住みやすい環境にして、もともといる乳酸菌を増殖させるという発想が重要です。

この発想はちょっとわかりにくいかもしれませんが、腸をお庭の花壇に例えるとわかりやすいかもしれません。

腸内環境を花壇の「土」、腸内細菌を花壇の「花」と考えてみましょう。

例えば、花壇でバラを育てたいと思ったら、バラの育成に適した肥料を与えて土を改良します。

育てたい花があっても、土がその花に適していなければ、どんなに種を撒いても、苗を植えても、その花を上手に育てることはできません。

「腸内を乳酸菌が住みやすい環境にする」のはこれと同じことです。

腸内環境が整っていなければ、腸内細菌は増えないのです。

「まずは土づくり」という農業の基本が腸にも当てはまるのです。

乳酸菌が住みやすい腸内環境とは


では、乳酸菌が住みやすい腸内環境とは、どのような状態なのでしょうか?

簡単に言えば、乳酸菌が好む餌が豊富にある状態です。

その餌となるのはオリゴ糖や難消化性デキストリンです。

オリゴ糖や難消化性デキストリンと聞くと、「栄養補助食品やサプリメントを買わなければいけない」と考える人が多いようですが、栄養補助食品やサプリメントに頼らずともオリゴ糖や難消化性デキストリンの元となる食物は存在します。

その食品の代表は芋、根菜、葉物野菜など繊維質を含んだ食品と豆や雑穀です。

人間はこれらに含まれる食物繊維を消化・吸収できませんが、これが腸に届くと腸内細菌が分解して乳酸菌の餌となるオリゴ糖を作ってくれるのです。

したがって、芋、根菜、葉物野菜など食物繊維を多く含む食品を、日常的に食べることで、乳酸菌が住みやすい腸内環境を整えることができるのです。

発酵食品の威力


「乳酸菌と言えばヨーグルト!」と、考える人は多いと思いますが、実は発酵食品の多くは乳酸菌の働きによる「乳酸発酵」を利用しています。

日本の発酵食品の代表といえば、味噌、漬物、納豆です。

味噌や漬物は、乳酸菌やその生産物を豊富に含むうえに、素材自体も大豆、白菜、蕪、大根、人参、野沢菜などの乳酸菌の好物である食物繊維を豊富に含んでいます。

納豆は乳酸菌ではなく納豆菌の発酵で作られますが、納豆菌は乳酸菌の増殖を助ける効果があり、納豆菌と乳酸菌を一緒に培養すると、納豆菌が無い状態にくらべて乳酸菌が10倍以上に増えることが実験で確認されています。

さらに納豆菌は非常に強い菌で、胃で消化されることなく腸まで届き、腸内で悪玉菌を抑え、乳酸菌を増やす働きをします。しかも納豆の原料は乳酸菌の好物である大豆です。

味噌汁や漬物、納豆という日本の伝統的な朝食は、乳酸菌とそれを補助する納豆菌を含んだ腸内細菌叢を整えるのに適した食事なのです。

【参考】

『腸を鍛える -腸内細菌と腸内フローラ-』  光岡 知足(著)  祥伝社
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『科学的エビデンスが乳酸菌生産物質の謎を解く』   関口 守衛(著)   創英社
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乳酸菌 腸内細菌叢
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