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体がサビるって、どういうこと?

執筆者:カラダヴィンチ編集部
公開日:2018/07/18
体がサビるって、どういうこと?

目次

  • 1 サビるとは酸化すること
  • 2 酸化は生命のエネルギー源
  • 3 地球の生態環境は酸化と還元で成り立っている
  • 4 酸素が生物を進化させた
  • 5 酸化は本当に体に悪いのか?

サビるとは酸化すること

鉄がサビる。
リンゴの色が黒ずんでくる。
油の色が濃くなり、不快な臭いがする。

これらはすべて酸化が原因です。

これに倣って最近は「老化の原因は体の酸化」とか「体のサビを取り除く」といったキャッチコピーを見かけるようになりました。

しかし、人間の体は鉄でできてるわけではないので、サビるわけがありません。ここでいう「サビる」とは体内で生じている化学反応のひとつである「酸化」を、鉄に倣って表現しているのでしょう。

酸化については、おそらく中学校の理科で学習したと思いますが、ここで酸化についておさらいしておきましょう。

酸化とは、物質が酸素と結合(水素を放出)して、他の物質へと変化する化学反応のことです。

酸化の反対は還元で、これは物質から酸素が奪われる(水素と結合する)ことです。

最近は、「酸化は体に悪く、還元は体に良い」といった風潮がありますが、酸化という化学反応は本当に体に悪いのでしょうか?

酸化は生命のエネルギー源

もっとも身近な酸化反応は“物が燃える”ことです。

ガスや石油、木や紙が燃えるのは、炭素が酸素と結合(酸化)して二酸化炭素と水になる化学反応です。

酸化は大きなエネルギーが生じる化学反応です。

たとえば、ロケットは、水素と酸素が結合する酸化エネルギーを利用して、推進力を得ます。

身近なところでは、使い捨てカイロは、鉄粉が酸化する時に生じる熱を利用しています。

人間も動物もエネルギー源は炭水化物(最終的にはブドウ糖)です。

炭水化物はその名の通り炭素と水素と酸素が結合したもので、この炭素が酸化した時の熱がエネルギーとなるのです。

呼吸によって酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出すのは、この酸化反応の結果です。つまり、酸化反応は我々が生命を維持するために絶対に不可欠な化学反応なのです。

炭素が酸化した時のエネルギーを利用するという点では、人間もロケットも同じといえるでしょう。

地球の生態環境は酸化と還元で成り立っている

人間も動物も呼吸によって取り込んだ酸素を使って、炭水化物(糖質)を酸化することでエネルギーを得ていますが、酸素を必要としない生物もいます。

それが植物です。

植物は二酸化炭素と水を取り入れ、太陽光を主なエネルギー源として、炭水化物(セルロース、デンプン、糖など)を作り、余った酸素を放出します。

この化学反応は、二酸化炭素の炭素と水の水素が結合し、酸素を放出するので還元反応です。

地球の生態環境は、植物が光エネルギーを利用して炭素と水から炭水化物と酸素を作り、その炭水化物と酸素から動物(人間)が酸化エネルギーを取り出して二酸化炭素を放出するという、植物による還元反応と、動物による酸化反応のサイクルによって成り立っています。

酸素が生物を進化させた

現在、地球上の空気は酸素が20%、二酸化炭素が0.03%、残りのほとんどが窒素という組成になっていますが、細菌のような原始的な生物しかいなかった太古の地球では、現在よりも二酸化炭素が多く、酸素はずっと少なかったと考えられています。

酸素分子は、非常に不安定な物質で、他の物質と化学反応を起こしやすく、純粋な酸素分子としては存在しづらいのです。

したがって、酸素を発生する植物がいなかった頃の地球では、空気中の酸素濃度が低かったと考えられます。

酸素濃度が低い環境で生まれた原始的な生物は、酸素から身を守る仕組みをもっておらず、酸素に触れると細胞が酸化され、変質して死んでしまったと考えられます。
これらの生物にとって、酸素は猛毒だったのです。

ちなみに現在でも、酸素の無いところでしか繁殖できない嫌気性細菌が存在します。これは太古の原始的生物の名残りと言えるでしょう。

その後の進化の過程で、酸素に触れると死んでしまう原始生物の中から、酸素への耐性を持ち、しかも二酸化炭素を消費して、酸素を発生する生物が出現します。

この生物は、酸素を発生することによって、他の酸素に耐性のない生物を殺し、自分の繁殖に有利な状況を作りだし、どんどん増殖していきました。これが現在の植物の成り立ちです。

酸素を発生する植物の増殖によって、大気中の酸素が増えてくると、次の進化の過程では、酸素の不安定さをエネルギー源として利用する生物が出現します。

この生物は、酸素という高エネルギー源を積極的に利用することで、活発に活動することが可能となりました。
自ら移動して、植物を食べる生物は、やがて動物へと進化します。

植物と動物の違いを船にたとえると、植物は風の力で動くヨット、動物は石油の燃焼エネルギーで動くモーターボートのようなものです。

酸素は非常に高いエネルギーを生み出すのです。

酸化は本当に体に悪いのか?

酸素は人間の生体活動には欠かせない物質で、酸化によって生じる高いエネルギーが人間の活動エネルギーとなっています。

このように高いエネルギーを生み出す酸素は、上手に活用すれば非常に有用ですが、扱い方を間違えると非常に危険な存在となります。

これは人間と火の関係に似ていて、火は私たちの生活に多大な恩恵をもたらしていますが、その反面、火の扱い方を間違えると大参事を招きます。

人間の体には酸素の危険性を減らすために、さまざまな仕組みが備わっています。

特に、高エネルギーながら不安定な状態の酸素である「活性酸素」は、その毒性を「免疫」として活用する一方、利用されずに余った活性酸素は自分自身の細胞を傷つけてしまいます。
そのために、動物の体内には余剰な活性酸素を無毒化するシステムが備わっています。

人間や動物は酸素という高エネルギー源を利用する能力を獲得することで進化し、それと同時に酸素を安全に取り扱う体内システムも発達させてきたのです。

つまり、酸化は人間の生体活動を支える根源的な化学反応ということです。

最近、体内の酸化反応を抑制する「抗酸化作用」をうたった健康食品が販売されていますが、本当に体内での酸化反応を阻害する作用があるとしたら、それは逆に体の不調を招いてしまう危険性があるでしょう。

【参考】

『活性酸素・フリーラジカルのすべて -健康から環境汚染まで-』 吉川敏一, 野原一子, 河野雅弘 (著) 丸善
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『活性酸素と老化制御 -多細胞社会の崩壊と長寿へのシナリオ-』 大柳善彦, 井上正康 (著) 共立出版
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